マダニはなぜ危険?草むら・庭・山で注意したい虫と正しい対策

マダニが葉の上にいる様子を中心に、草むら・庭・山での注意点と、長袖・長ズボン、帰宅後の身体チェック、SFTSなどの感染症への対策を紹介するイラスト付き画像。

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草むらや庭の手入れ、農作業、山歩きなどをしていると、「虫に刺される」ということがあります。

蚊やブヨ、毛虫なども気になりますが、その中でも特に注意したいのがマダニです。

マダニそのものが毒を持っているというより、問題なのは、病原体を持ったマダニに咬まれることで感染症にかかる可能性があることです。

代表的なものに、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑熱、ダニ媒介脳炎などがあります。

しかもマダニは、山奥だけにいるわけではありません。

庭、畑、草むら、あぜ道など、私たちの生活に比較的近い場所にも生息しています。

この記事では、

  • マダニは普通のダニと何が違うのか
  • なぜ危険なのか
  • どこにいるのか
  • 庭や草むらでどう予防するのか
  • 咬まれたらどうするのか
  • 他の危険な虫とはどう違うのか

を分かりやすく整理します。

マダニとは?

まず、家の中にいる「ダニ」とマダニは区別する必要があります。

食品などに発生するコナダニ、布団などに関係するヒョウヒダニ、植物につくハダニなどとは別の生物です。

マダニは屋外に生息する比較的大型のダニで、厚生労働省によると、種類によって成ダニは吸血前で3~8mm程度、吸血後には10~20mm程度になることがあります。森林や草地だけでなく、郊外や市街地にも生息しています。

つまり、

「ダニだから小さすぎて見えない」

とは限りません。

吸血したマダニは、肉眼でも確認できる大きさになる場合があります。

マダニが危険と言われる3つの理由

1.病原体を運ぶことがある

マダニが問題になる最大の理由です。

病原体を保有しているマダニに咬まれると、感染症に感染する可能性があります。

代表的なものが、

  • 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
  • 日本紅斑熱
  • ダニ媒介脳炎
  • マダニ媒介性の回帰熱
  • ライム病

などです。

すべてのマダニが病原体を持っているわけではありません。

しかし、「マダニに咬まれた=必ず感染する」という意味ではない一方で、感染症の可能性があるため注意が必要ということです。

2.皮膚にしっかり食いつく

蚊などと違い、マダニは皮膚に口器を突き刺して吸血します。

しかも、短時間で離れるとは限りません。

厚生労働省によると、マダニ類の多くは人や動物に取り付くと、数日間、長いものでは10日間以上吸血することがあります。さらに、咬まれたことに気づかない場合もあります。

ここがマダニの厄介なところです。

「庭仕事をして、家に帰って、シャワーを浴びて終わり」

と思っていても、衣服や身体にマダニが付着している可能性があります。

3.身近な場所にもいる

マダニというと、

「山に登る人が注意するもの」

というイメージがあります。

しかし、それだけではありません。

マダニは、

  • 森林
  • 草地
  • 藪
  • 畑
  • あぜ道
  • 民家の裏山
  • 裏庭
  • 野生動物が出入りする場所

などにも生息します。

そのため、山登りをしない人でも注意が必要です。

特に、庭の草刈りや農作業をする人は、マダニ対策を「アウトドア用品の話」と考えないほうがよいでしょう。

SFTSは特に注意したい感染症

マダニについて調べると、必ず出てくるのがSFTS(重症熱性血小板減少症候群)です。

SFTSは、主にSFTSウイルスを保有するマダニに咬まれることで感染します。

主な初期症状は、

  • 発熱
  • 全身の倦怠感
  • 食欲不振
  • 吐き気・嘔吐
  • 下痢
  • 腹痛

などです。

重症化すると、死亡することもあります。

国内では2013年にSFTSの患者が確認されて以来、報告が続いています。

国立健康危機管理研究機構の2026年4月30日時点の集計では、2013~2026年の発病年別集計で1,259例が掲載されています。2026年分だけでも4月30日時点で20例が報告されています。

また、以前は西日本を中心に報告されていましたが、2025年には関東や北海道で感染した症例も確認され、厚生労働省は全国的に感染リスクがあるとしています。

マダニは「春から秋」に特に注意

マダニ対策は夏だけのものではありません。

厚生労働省は、春から秋にかけてマダニの活動が盛んになるため、この時期は特に注意するよう呼びかけています。

したがって、

春の草刈り
↓
夏の庭仕事
↓
秋の山歩き

というように、暖かい時期の屋外活動では継続的に対策することが重要です。

庭にもマダニはいる?

「自宅の庭なら大丈夫」と考えるのは危険です。

特に、

  • 草が生い茂っている
  • 藪がある
  • 畑がある
  • 裏山に近い
  • 野生動物が出入りする
  • 犬や猫が外を歩き回る

といった環境では注意したいところです。

厚生労働省の資料でも、マダニは民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道などにも生息するとされています。

そのため、庭の草刈りをするときにも、

「山に行かないからマダニ対策は必要ない」

とは言い切れません。

マダニから身を守る基本

最も重要なのは、マダニに咬まれないことです。

厚生労働省が推奨している基本的な対策は、次のようなものです。

① 長袖・長ズボンを着用する

肌の露出をできるだけ少なくします。

草むらに入る場合は、半袖・短パンよりも長袖・長ズボンが基本です。

② ズボンの裾を処理する

ここは意外に重要です。

シャツの裾をズボンの中に入れ、ズボンの裾も靴下や長靴の中に入れる、あるいは登山用スパッツを使います。

マダニが衣服の隙間から入り込むのを防ぐ考え方です。

③ サンダルを避ける

草むらや山などでは、足を完全に覆う靴を使用します。

④ 明るい色の服を選ぶ

これはマダニを寄せ付けるためではありません。

服に付着したマダニを見つけやすくするためです。

白やベージュなどの明るい色なら、黒っぽいマダニを発見しやすくなります。

⑤ 虫よけ剤を補助的に利用する

虫よけ剤の中には、マダニ対策として服の上から使用するタイプがあります。

厚生労働省も、DEET(ディート)を含む製品などについて、補助的な効果があるとしています。

ただし、製品によって使用方法が異なるため、必ず表示を確認して使用しましょう。

「服装+帰宅後のチェック」が重要

マダニ対策は、外にいる間だけで終わりではありません。

屋外活動から帰ったら、

  1. 衣服を確認する
  2. 身体を確認する
  3. 入浴する
  4. マダニが付着していないか確認する

という習慣をつけるとよいでしょう。

特に確認したい場所は、

  • わきの下
  • 足の付け根
  • 手首
  • 膝の裏
  • 胸の下
  • 頭部
  • 髪の毛の中

などです。

小さな子どもや、自分で確認しにくい人は、家族がチェックするのもよいでしょう。

マダニを見つけたら、無理に引き抜かない

ここは非常に重要です。

皮膚にマダニが食いついているのを発見すると、

「早く取らなければ」

と思って、指やピンセットなどで無理に引っ張りたくなります。

しかし、厚生労働省は、吸血中のマダニを無理に引き抜かないように注意しています。

無理に取り除こうとすると、マダニの一部が皮膚内に残ったり、体液が逆流したりする可能性があるためです。

そのため、

皮膚にしっかり食いついているマダニを発見したら、皮膚科などの医療機関に相談する

というのが安全な対応です。

マダニに咬まれた後は体調にも注意

マダニに咬まれた場合、すぐに症状が出るとは限りません。

厚生労働省は、マダニに咬まれた後、数週間程度は体調の変化に注意し、発熱などの症状があれば医療機関を受診するよう案内しています。

受診するときには、

  • いつ屋外活動をしたか
  • どこに行ったか
  • 草むら・山・畑などに入ったか
  • マダニに咬まれたこと

などを医師に伝えるとよいでしょう。

マダニ以外にも注意したい「草むら・山の虫」

屋外では、マダニだけに注意すればよいわけではありません。

代表的なのが、

虫主な注意点
マダニダニ媒介感染症
スズメバチ刺傷、アナフィラキシー
ブヨ吸血、強い腫れやかゆみ
蚊蚊媒介感染症
毛虫毒毛による皮膚炎

です。

つまり、草むらに入るときの基本は、

「特定の虫を探す」のではなく、肌を露出しないこと

です。

長袖・長ズボンなどの服装は、マダニだけでなく、蚊やブヨなどへの対策にもつながります。

草刈りをする人は特に注意

マダニ対策を考えるとき、登山やキャンプばかりが注目されます。

しかし、日常生活では草刈り・農作業・庭仕事も重要です。

例えば、

「ちょっと庭の草を刈るだけだから半袖でいい」

という行動が、マダニとの接触機会になる可能性があります。

特に草が腰の高さまで伸びているような場所では、衣服にマダニが付着する可能性を考えたほうがよいでしょう。

草刈りの日は、

長袖
+長ズボン
+足を覆う靴
+手袋
+帰宅後の身体チェック

というセットで考えると分かりやすくなります。

ペットにも注意したい

犬や猫などのペットが屋外を歩く場合、ペットにマダニが付着することもあります。

また、SFTSについては、感染した猫や犬の体液などから人に感染したと考えられる事例も報告されています。

そのため、屋外から帰ったペットについても、マダニが付着していないか確認することが大切です。

ただし、ペットのマダニ予防については動物用医薬品なども関係するため、具体的な製品選びは獣医師に相談すると安心です。

「マダニは怖い虫」と考えるだけでは不十分

マダニについての記事では、

「SFTSは死亡することもある」

という情報だけを強調すると、必要以上に恐怖を感じる読者もいるでしょう。

重要なのは、

マダニ=必ず病気になる虫

ではないということです。

マダニが病原体を保有しているとは限らず、咬まれた人が必ず感染するわけでもありません。

一方で、感染症を媒介する可能性があるため、

「咬まれないようにする」
「付着していないか確認する」
「咬まれたら適切に対処する」

という現実的な対策が重要です。

マダニ対策は「虫を完全になくす」ことではない

ここは生活面で非常に重要なポイントです。

庭や山からマダニを完全になくそうとするより、

マダニと接触する機会を減らす

という考え方のほうが現実的です。

例えば、

  • 草を必要以上に茂らせない
  • 草むらに入るときは服装を変える
  • 作業後に身体を確認する
  • 衣服を確認する
  • ペットを確認する
  • 咬まれたら無理に取らない

といった複数の対策を組み合わせます。

これは「一つの対策に頼らない」という意味でも重要です。

まとめ|マダニ対策で覚えておきたい7つのこと

最後に、この記事で覚えておきたいことを整理します。

① マダニは普通の家庭内のダニとは違う

マダニは森林や草地などの屋外に生息する比較的大型のダニです。

② 山だけでなく庭や畑にもいる

裏庭、畑、あぜ道などにも生息するため、山に行かない人も注意が必要です。

③ 病原体を持っていることがある

SFTS、日本紅斑熱、ダニ媒介脳炎などの感染症を媒介することがあります。

④ 春から秋は特に注意

マダニの活動が盛んになるため、草刈りや庭仕事でも対策しましょう。

⑤ 長袖・長ズボンが基本

肌の露出を少なくし、靴や靴下なども工夫します。

⑥ 帰宅後に身体を確認する

特に、わきの下、足の付け根、膝の裏、頭部などを確認します。

⑦ 食いついたマダニを無理に取らない

皮膚にしっかり付着している場合は、医療機関での処置を検討しましょう。

「山に行かなければ大丈夫」ではない

マダニ対策で一番覚えておきたいのは、

マダニは「山の虫」ではなく、「草や藪のある屋外で注意したい虫」

ということです。

庭の草刈り、畑仕事、犬の散歩、ハイキングなど、私たちの日常生活にも接点があります。

だからこそ、特別なことをするより、

「肌を隠す」→「付着を確認する」→「咬まれたら適切に対処する」

というシンプルな習慣を身につけておくことが大切です。

マダニ媒介感染症について、厚生労働省も「刺されないこと」を最も重要な予防策として案内しています。

怖がりすぎる必要はありません。しかし、「草むらにはマダニがいるかもしれない」と知っておくことが、最も実用的な予防になります。

参考にした公的情報